月別アーカイブ: 2013年3月

心臓の病気による胸の痛み≪狭心症≫

前胸部への締めつけられるような胸の痛みや圧迫感、胸が焼け付くような感じを主な症状とする“狭心症”は、冠動脈の血流が一時的に悪くなることが原因となっています。

 

心筋梗塞のように完全にふさがって血流が途絶えているわけではないので、痛みは急激なものではなく少しずつ強さを増して数秒から長くても10分程度で治まり長くは続かず、血流が元通りになると治まりますが、症状が治まっても必ず医師に診てもらう必要があります。

 

10分以上継続する場合は心筋梗塞を引き起こしている可能性もあるので、一刻を争います。

 

また狭心症では心臓だけでなく、“放散痛”といって一見心臓とは無関係な左腕や左肩、みぞおち、喉、あご、奥歯、背中などに圧迫感や重苦しさのようなものを感じることもあり、胸に感じる痛みとは異なりますが、中には胸に痛みが起こらなくて放散痛だけが起こることもあるので注意が必要です。

 

狭心症の発作には、階段を上ったり、運動をしたり、温度差の激しい場所へ急に映ったり、ストレスや興奮、緊張、飲酒などによって起こる“労作性狭心症”と、特別に身体を動かしていなくても起こる“安静狭心症”とがあります。

 

“安静狭心症”は、血管がけいれんすることによって起こるもので、夜寝ている時に突然胸の痛みが起こったり、深夜から早朝にかけて何度も痛みが起こるような“異型狭心症”はその典型とも言えるものですが、発作のたびに症状が悪化する“不安定狭心症”とともに心筋梗塞に移行しやすいと言われますので、発作がなくても定期的に医師の診断を受けることが大切です。

肺の病気による胸の痛み≪肺血栓塞栓症・気胸≫

“胸の痛み”を生じる病気には、“肺血栓塞栓症”や“気胸”もあります。

 

“肺血栓塞栓症”は下肢静脈や骨盤静脈を介して血液の塊が肺動脈に流れ込んでつまって閉塞したり、流れが悪くなってしまう病気で、末梢肺動脈につまって完全に閉塞してしまうと、肺組織が壊死する“肺梗塞”が起こるのですが、肺血栓塞栓症の約20%が悪化して“肺梗塞”になるとも言われています。

 

“肺血栓塞栓症”では血栓が小さい場合には症状がないこともありますが、ある程度の大きさになると突然強い胸の痛みが起こったり、呼吸回数が増える頻呼吸が起こったり、さらに大きな血栓が太い血管につまってしまうと血痰や発汗、発熱といった症状も現れ、最悪の場合ショック状態となって突然死を招くこともあります。

 

原因としては、下肢の深部静脈でできた血栓がはがれて静脈の流れにのって肺動脈に達する“下肢深部静脈血栓症”が主なものとされ、これは病気や術後の安静のために寝たきり状態が続いたり、飛行機や車で狭い座席に下肢を曲げたままで長時間座って血液が停留した上に、トイレに行くのが大変だからといって水分を取らないで脱水状態となり血液が濃くなって固まって血栓ができてしまったり、産後や術後に血栓ができてしまうことが原因と考えられています。

 

また、“気胸”は肺胞にあいた孔から空気が胸腔内に漏れ肺全体が縮んでしまう病気で、最も多い“自然気胸”以外にも“外傷性気胸”、“医原性気胸”、“月経随伴性気胸”などがあり、いずれも咳や刺されたような鋭い胸の痛み、息苦しさなどを伴います。

肺の病気による胸の痛み≪縦隔気腫・肺がん≫

“縦隔気腫”は、暴飲暴食をして嘔吐したときに食道が破裂して穴のあく食道穿孔を起こしたり、気管支喘息を起こしたり、胸の手術や胸にケガを負ったりした際に肺や気管が破損してそこからもれた空気が、縦壁という胸腔を区切っている箇所に溜まる病気で、胸の痛みや胸の圧迫感、首や顔の腫れ、発熱、さらにはチアノーゼや呼吸困難の症状を伴うこともあります。

 

場合によっては縦隔だけでなく顔や下肢など全身におこって膨らみ、強く痛むこともあります。

 

胸部のCT検査やX線検査によって“縦隔気腫”という診断が下されても、空気の漏れが止まっていれば特に治療を行いませんが、事故などによる肺や気管の破損が原因となって胸の痛みなどを伴っている場合は、命にかかわるような深刻な事態に陥ることもあるので、一刻も早く医師の診察を受ける必要があります。

 

 

男性が発症するガンの中でもトップに挙げられる“肺がん”は、肺胞や気管支に発生して他の臓器やリンパ節に転移する危険の高いもので、がん患者の約8割が喫煙者であることから主な原因はタバコであると考えられています。

 

そして肺がんには長引く咳や胸の痛みがつきものですが、他の病気とは違う目立った症状がないために初期の段階で気付きにくいとも言われます。

 

胸の痛みに関してもちくちくさすような胸の痛みや、鈍い胸の痛みとして現れることもあったり、病状が進んでも風邪の症状によく似ているので発見が遅れて最悪のケースになるというようなことがないよう注意が必要です。

肺の病気による胸の痛み≪胸膜炎・膿胸≫

“胸膜”には肺の表面を覆う“臓側胸膜”と、胸壁の内面や横隔膜の上面などを覆う“壁側胸膜”の2つがあって、この内側と外側の隙間にできた胸膜腔に胸水がたまった状態を“胸膜炎” と言います。

 

胸壁側の胸膜には感覚神経がありますが、肺の表面の胸膜には神経が分布していないために、“胸膜炎”に特有の鋭くて短い胸の痛みがある場合は胸壁側の胸膜に炎症が起こっていることが多いようです。

 

そして胸水がたまるに従って胸の圧迫感や息切れが現れますが、初期に現れていた胸の痛みは逆に軽くなってきます。

 

また、胸膜炎は単独で発症することは少なく、殆どの場合肺結核や肺がん、肺炎などが起こった時点で腫瘍や炎症が胸膜を刺激してしまうことによって“結核性胸膜炎”や“ガン性胸膜炎”となって発症することが多く、“結核性胸膜炎”の場合には抗結核剤の投与を、肺炎の場合には抗生在の投与を、“ガン性胸膜炎”の場合は胸腔内に抗がん剤を注入し、さらに胸水が多く溜まっていれば胸腔にチェストチューブという管を入れて取り除く処置も行われます。

 

 

別名を“化膿性胸膜炎”ともいう“膿胸”は、胸膜が炎症起こして膿状の液体がたまってしまうもので、胸腔手術を行ったり細菌性肺炎や肺化膿症、気管支拡張症などにかかった後で発熱や胸の痛みなどを伴って発症することが多い病気です。

 

“膿胸”は3か月未満の症状を急性膿胸、それ以上経過したものを慢性膿胸と分けられていますが、いずれも早急に膿の除去や胸腔内の洗浄、抗菌薬の投与が必要とされます。

肺の病気による胸の痛み≪肺炎≫

何らかのきっかけで、病原菌が肺に入って肺胞やその周辺に炎症を起こす病気を総称して“肺炎”と言います。

 

肺炎には原因となっている病原菌によってさまざまな種類があり、中でもインフルエンザウィルスや麻疹ウィルス、水痘ウィルスなどが原因となって起こる“ウィルス性肺炎”や、マイコプラズマという抗生物質に対して耐性のある病原菌が原因となって起こる“マイコプラズマ肺炎”、汚染された水に繁殖することから温泉やサウナなどで高齢者が感染源しやすい“レジオネラ肺炎”などがあります。

 

肺炎の症状としては咳や痰が長引いたり、悪寒や、発熱、胸の痛みなどが特徴的なもので、症状が悪化すると呼吸困難や意識障害を起こすこともあるのですが、高齢者の場合は発熱を伴わないことも多いので、咳が長引いたり食欲がなくて元気がない程度であっても病院で診てもらうことが大切です。

 

胸部のレントゲン写真を撮ると、気胸や肺気腫などでは病気の部分に空気が多く集まって影が黒く映りますが、肺がんや肺結核、肺炎などでは肺胞の壁が線維化を起こして肺胞がつぶれて硬くなり、空気が入らない状態となっているために白い影となって映ります。

 

レントゲン撮影によって肺炎であることが確定したら、次に病原菌を特定するために血液検査や喀痰検査、尿検査なども行われ、脱水症状を伴っていたり重症と判断される場合には入院治療となりますが、軽症であれば外来での内服と点滴による治療が行われます。