月別アーカイブ: 2013年4月

心臓の病気による胸の痛み≪急性心不全≫

“急性心不全”はそれまで普通に生活していた人が、急に肺に水がたまって胸の痛みや動悸、息苦しさなどを訴える病気で、近年は増加の一途をたどりアメリカでは毎年50万人という規模で新たな患者が増え続けて、年間に30万人がこの病気で亡くなっていると言われますが、日本でも心筋梗塞の患者数よりも多くなっているのが現状です。

 

私たちの心臓には右心房、右心室、左心房、左心室という4つの部屋があって、まず新鮮な血液が心臓の左心室から大動脈を通って全身へ送り出され、使用済みの二酸化炭素を多く含んだ血液は心臓にもどってきて右心房から右心室へと行き、そこで酸素と二酸化炭素とのガス交換が行われて、十分な酸素を含んだ血液が左心房を通って再び左心室に戻ってきます。

 

けれども心臓の血管や左心室の動きに異常が起こると、肺から左心房、左心房から左心室へと流れていくはずの血液がうまく流れなくなって肺に滞り、うっ血状態になってしまい胸の痛みや息苦しさといった症状となって現れます。

 

このようになった状態を“肺うっ血”とか“肺水腫”と言い、気管支が肺うっ血で圧迫されて喘息のような症状も現れることから、“急性心不全”は“心臓喘息”と呼ばれることもあります。

 

発症には風邪や過労、ストレス、貧血などが引き金になっていると言われていますが、甲状腺機能亢進症や急性心筋梗塞や拡張型心筋症、心臓弁膜症、高血圧性心疾患、先天性心疾患などの心臓の病気が原因となっていることも多いようです。

心臓の病気による胸の痛み≪不整脈≫

胸の痛みやめまい、動悸、失神などの症状は、“不整脈”によって引き起こされることもあります。

 

筋肉でできた臓器である心臓は、洞結節という部分で作られた電気の規則正しい刺激が心室筋に伝えられることによって興奮し、規則正しく収縮するしくみになっていますが、電気に異常が起こったり刺激が伝導路という電気の通り道をうまく流れなかったりすると

脈が遅くなる“徐脈”が起こったり、心臓の中で電気が異常に早く作られたり本来の通り道とは違う伝導路ができて電気が空回りする“頻脈”が起こったり、電気がつくられる場所以外から刺激が出てきて脈が飛ぶ“期外収縮”などの不整脈が起こります。

 

つまり“不整脈”は心筋梗塞や狭心症などのような心臓の血管が詰まって起こる病気とは違って、心臓の電気系統の部分の故障なのです。

 

不整脈の原因としては、加齢によるものや、体質的なもの、睡眠不足、疲労、ストレス、高血圧、甲状腺異常などが挙げられますが、心臓に病気があると電気系統にも異常が生じやすいようです。

 

また不整脈に、胸の痛みや息切れ、めまいなどの症状が伴う場合は危険度が高いので注意が必要となりますが、最近では徐脈の人にはペースメーカーを装着したり頻脈の人には問題となっている心筋の一部を焼くカテーテルアブレーションという処置を施すなど、治療法がめざましく進歩してきたために殆どの不整脈が治療可能となっていますので、自分の不整脈のタイプを理解して正しい治療を行えば怖い病気ではないとも言われています。

心臓の病気による胸の痛み≪大動脈弁疾患≫

心臓から全身へ送り出される血液は左心室から大動脈を通って行きますが、この際に血液が左心室に逆流しないようにしてくれているのが“大動脈弁”で、3枚の半月形の弁膜からできていることから“半月弁”とも呼ばれています。

 

大動脈弁疾患の1つ“大動脈弁狭窄症”は、弁尖に癒着や硬化、石灰化が生じて弁の狭窄が生じて全身に血液が送り出されにくくなるもので、この状態に対応しようとして左心室に必要以上の負担がかかることで左心室の心筋が厚くなり心不全を起こしたり、重症化すると左心房圧も高まって肺内の血液量が増加して肺うっ血をきたしたりすることもある怖い病気です。

 

原因には、加齢による組織の石灰化や、リュウマチ性のもの、また先天性のものでは弁が1つであったり2つであったり、3つであっても弁同士がくっついていたり、高齢者では動脈硬化によるものが殆どを占めています。

 

治療では、人工弁に換える弁置換術や弁自体を修復する“弁形成術”という手術が行われますが、手術後も心肥大は残るので医師の指導のもとでの管理が必要となります。

 

また、心臓の出口のドアの役割を果たしている“大動脈弁”は、左心室から大動脈に血液が押し出される際に開き、その後は左心室に逆流しないように閉じるというしくみになっていますが、左心室が拡張する際に大動脈弁が完全に閉じなくなって“大動脈弁閉鎖不全症”を発症すると左心室から大動脈に押し出された血液が左心室へ逆流してしまいます。

 

これらの疾患は症状が出にくいことが多いのですが、胸が痛んだり、圧迫感や締めつけられるような感じのある場合には早めに医師に診てもらう必要があります。

心臓の病気による胸の痛み≪僧帽弁逸脱症≫

心臓には右心房、右心室、左心房、左心室という4つの部屋がありますが、全身に血液を送るポンプのはたらきをする重要な部分である左心室は、“僧帽弁”という弁によって左心房と隔てられています。

 

形がカトリックの司教の冠に似ていることから名づけられた“僧帽弁”は大きな前尖と小さな後尖の2枚の弁からなる二尖弁で左房室弁とも言われ、左心房の収縮時に開いて左心室に血液を送り、左心室の収縮時には閉じて左心房へ血液が逆流するのを防ぐ役割を果たしています。

 

この弁に異常が生じる“僧帽弁逸脱症”という病気は、僧帽弁のコラーゲン線維が変質してスポンジのように厚くやわらかくなってたるみ、左心室の収縮時に左心房側に落ち込んでしまうもので、これが僧帽弁閉鎖不全症や不整脈の原因になると考えられていますが、変質してしまう原因には遺伝的やものの他に、感染性心内膜炎や心筋炎、心筋梗塞などといったものもあるようです。

 

症状は全くない人もいますが、胸の痛みや不整脈、動悸、めまいなどが多く、中には失神を起こす人もいて、症状が重い場合には薬物療法だけでなく手術による治療も行われます。

 

罹患率は、男性より女性の方が2倍位高いと言われ、その殆どは先天的なもので原因はいまだに解明されていません。

 

また、“僧帽弁逸脱症”は50人に1人程度の割合で発症する比較的よくある病気ですが、細菌や真菌に感染して弁膜に障害を起こす“感染性心内膜炎”を引き起こすリスクが他の人よりも高くなるために、抜歯などの際には医師に言って抗生剤を処方してもらう必要があります。

心臓の病気による胸の痛み≪急性心筋炎≫

“心筋炎”というのは、何らかの原因で心臓の筋肉に炎症が起きて細胞が破壊され心臓の機能が低下してしまう病気で、感染すると1週間以内に発熱やせき、頭痛、咽頭痛、全身倦怠感、さらには吐き気や嘔吐、腹痛、下痢といった消化器症状が出て、その後で動悸や胸の痛み、息苦しさ、不整脈、などの呼吸器系の症状が出ますが、その程度は殆ど無症状のものから命にかかわる危険性の高いものまで幅広くあります。

 

原因は、コクサッキーウイルスやエコーウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルスやジフテリア菌などの細菌に感染したり、川崎病や急性リュウマチ熱、全身性エリテマトーデスなどの膠原病、真菌、原虫、寄生虫の感染や、薬物、放射線照射などが挙げられますが、最近ではウイルス感染によって発症して重症化するものが問題となっています。

 

“心筋炎”には慢性と急性とがありますが、殆どの場合が急性のもので、急性のウイルス性心筋炎は風邪として見過ごされることが多く進行すると心停止やショック状態に陥って

死に至るケースもあるので、消化器症状に加えて胸の痛みや呼吸困難、低血圧の症状が出た場合には心筋炎を疑ってみる必要があります。

 

血液検査や心電図、胸部X線撮影、心臓超音波検査などによって心筋炎を起こしているかどうかが判断され、重症の場合は入院して合併症を防ぐための治療が行われます。

 

ただ軽症で済んだとしても不整脈などの後遺症が残って何年後かに重症の不整脈や心不全となって再発することがあるので、治癒後も定期的に医師に診てもらうことが大切です。